行事の流れ

篠島の歴史・伝統行事について

篠島では宝亀2年(771)から伊勢神宮御遷宮の折りに下賜される御古材を使い、20年ごとに島内にある神明神社、八王子社のお社の「造営」、「遷宮」が行われてきました。伊勢神宮の御遷宮で役目を終えた東宝殿が篠島へ下賜され、神明神社の社殿として生まれ変わります。また同時に神明神社のお社は八王子社へ新たに移されます。そして八王子社のお社も20年経った後に、島内に点在する小さな社に姿を変えます。これらはすべて島民によって執り行われ、1200年以上にわたり受け継がれています。

平成17年
(2000)

準備委員会立ち上げ(中遷宮)
20年の一度の式年遷宮ですが、その間の10年目に、中遷宮があります。今回は神明神社と八王子社の整備や、式年遷宮のとき手がけなかった社務所や水屋などの整備を行いました。また中遷宮に合わせて、10年後の御遷宮に向けた準備委員会が立ち上がります。篠島漁業協同組合代表理事組合長(吉戸一紀)、氏子総代(板谷武雄、伊藤秀春、利根孝志)、世話役(板谷紀雄、吉戸貞利)、代表区長(小久保成人)、町会議員(藤井満久)などが参加し、御遷宮に向けて島民の皆様へ、式年遷宮に向けた寄付のお願いなどを始めます。

平成26年
(2014)

12月9日神宮司庁 山田工作場へ御古材受領の打合せ 及び 下見
伊勢神宮の式年遷宮が平成25年(2013)にあり、その御古材は神宮司庁 山田工作場に保管されています。篠島の式年遷宮の前年に選ばれた大工の棟梁(辻德忠氏)などが御古材の下見に伺い状態を確認。また今後の流れについて打合せが行われました。
2月18日御木曳祭を実施
御古材を島民に披露するために、御造営に用いられる棟持柱を祀り、島内を曳きまわすお祭りです。今回は木製のそりのようなものを造り、篠島漁業協同組合の協力を得て船を利用して、神明造の建物の棟を両側で支える、棟持柱をお披露目しました。
3月2日・6日神明神社、八王子社の御仮屋が完成
3月2日に神明神社、6日に八王子社の御仮屋が完成しました。御仮屋とは、御造営にあたって旧殿を解体、御造営している間に、御神体を祀る仮の建屋のことで、各神社の敷地内に、御造営されます。
3月16日神明神社の仮遷座祭を実施
御神体を御仮屋に遷座する神事です。神職は日が落ちる頃に海に入って体を清め、神事に備えます。神事は人目にふれないよう周辺の電気を消し、白布で覆われた中で執り行われます。
12月24日・25日御古材を受領し、篠島の作業所へ搬入
下見で御古材の量や状態を確認して運搬の準備を進め、運搬にかかる人数や方法を調整。古来は基本的に船で運搬していましたが、現在は一部の行程にトラック輸送を取り入れています。今回は名正運輸により篠島の作業所へ搬入しました。

平成27年
(2015)

1月12日御造営の仕事初め
20年前は17名の大工で担った御造営を、今回は11名で行いました。そのため前回は四月だった仕事始めを1月に早めました。前年に伊勢神宮に提出した設計図をもとに作業工程を検討し、式年遷宮のみでしか使わない鉋(かんな)や御造営ならではの進め方もあるため、次を担う若手を指導しながら仕事を進めていきます。
3月19日神明神社の解体作業開始
3月29日神明神社の地鎮祭を実施
4月19日神明神社の御造営着工
御神体が御仮屋へ遷座され、御祓いをして初めて、大工は本殿に手をふれることができます。御神体を祭る本殿のため、解体作業や組み立て作業はもちろん、作業所においても、大工は白の衣装を身にまといます。
5月6日八王子社の仮遷座祭を実施
5月8日八王子社の解体作業開始
神明神社の御造営を始めた後に、その御古材を利用して御造営する八王子社の仮遷座祭、解体作業を進めていきます。神明神社や八王子社の御古材は一旦、作業所へと移し、それぞれ次の役割を担うため、材料を削る、社殿用に磨くなど手を加えていきます。
5月15日神明神社の屋根板金作業開始
屋根に銅板を一枚ずつ、位置を合わせ取りつけていきます。屋根板金は、社殿にきらびやかさや美しさをもたらすだけでなく、長年雨風にさらされることを考え防水性や耐久性を備える役割も担っています。
6月2日八王子社の鳥居組み上げ
6月6日八王子社の地鎮祭を実施
6月23日八王子社の御造営着工
神明神社の屋根板金作業の完成によって、社殿の風雨への対策が整った後に、八王子社で地鎮祭が執り行われます。20年に一度だけ更地になる敷地を見ながら、大工の方々は身を引き締め、御造営の安全と無事に完成することを祈願します。
神明神社・八王子社の御造営竣工
すべての工程が終わり、社殿の御造営が完成。あとは御仮屋に祀っている御神体を、神殿に遷座する、本遷座祭を待つのみになります。今回の御造営は、雨天で日程変更が相次ぎ、途中で作業工程に遅れがありましたが、無事に竣工を迎えることができました。
10月10日本遷座祭
本殿の御造営を終え、夜間に御仮屋から本殿へと御神体を移すのが本遷座祭です。当日の朝には上棟祭が行われ、神職は日が落ちる頃に海へ入って体を清めます。本遷座は人目にふれないように周辺の電気を消し、白布で覆われた中で執り行われます。御遷座が成った後の太鼓の合図で、島民たちは神明神社に殺到し、御神体が移動した道に敷かれていたご利益ある白布を「御布取り」で取り合います。神明神社の本遷座祭を終えた後、八王子社にて同じく本遷座祭が執り行われます。
10月11日奉祝祭
本遷座祭の翌日は、御遷座を祝って神楽を奉納する奉祝祭が執り行われ、式年遷宮を締めくくります。本遷座祭と同様に、御造営に関わった大工、奉賛会、篠島漁業協同組合などの関係者が参列します。神明神社に続いて八王子社で行われ、両社をつなぐ道中では、神職の移動を篠島の伝統である大名行列が見守ります。膨大な資金が必要な式年遷宮は、多くの島民や島出身者の寄付や協力によって支えられ、無事に終わりました。そしてこの日から、また20年後に向けた取り組みが始まります。